日本の重要な産業のひとつ、自動車産業。
ガソリン価格の高騰とCO2排出量の削減という2つの大きな課題を前に、自動車産業は「低燃費エンジン」の開発に力を注いでいます。 ハイブリッド技術や電気自動車、燃料電池自動車の開発も進められていますが、 確立されるまでは当分の間、現状の内燃機関エンジンが必要となるでしょう。 エンジンの低燃費化は進んでいるものの、実は基本的な構造は100年以上も大きく変わっていません。
浪越エレクトロニクスは、主に電子機器の設計製造を行ってきた企業ですが、
エネルギーに関する多くの製品を発案・開発してきた実績がありその蓄積した技術は、
分野は違えど物理的・論理的に共通している部分が大いにあります。
違う分野からだからこそ見えた別の角度で、従来の発想にとらわれないまったく新しい構造のエンジンを考案・開発中です。
損失を低減させてエンジンの効率を上げる。
少ない燃料でいかに大きな動力を生むことができるか。そのための方法は2つ。
- 燃料をエネルギーに変換する熱効率を上げること
- 発生したエネルギーの機関損失を下げること
しかし熱効率を大きく引き上げることは困難です。
一方、エンジン効率において、機関損失はかなりの割合を占めています。
自動車が走行する際、速度に応じたエンジン回転数を維持する必要があり、そのため費やされる非常に多くのエネルギー、それが機関損失です。
機関損失には「摩擦による損失」「振動による損失」「往復運動による損失」があります。
摩擦による損失を低減
現状4気筒エンジンの場合、構造上13か所の摩擦箇所となっている滑り軸受けを5か所に減らしました。
これにより摩擦面積も大幅に減らすことができます。
振動による損失を低減
振動について
振動を発生させるピストンの動きとその振動を抑えるバランサーの動作がポイントです。
一般的なエンジンのピストンの移動は非サイン波を描いているのをサイン波を描くよう設計、
バランサーで計算上完全に相殺可能となるよう構造を大幅に変更しました。
この回転系においては振動を抑えることができます。
エネルギーの振動について
クランクシャフトとの間でエネルギーが移動する際、多くの摩擦箇所を通過するために摩擦損失が発生し、
さらに振動も起こすため損失の要因となっています。
ピストンと1次バランサーがサインとコサインの関係を保ち運動するよう設計することで、
振動を相殺し他に影響を与えないようになるため、摩擦・振動を抑え損失を低減することができます。
往復運動による損失を低減
ピストンから他のピストンへ力が伝達する際、ピストンピン、クランクピン、クランクシャフトを経由していましたが、 直接力が伝達できるよう4個のピストンを一体化、すべてが同時に左右へ往復する構造に変更して、 伝達過程で失われていた多くのエネルギーを抑えることができます。
低燃費エンジンが社会に及ぼす影響は?
この技術は、事業化された場合、ガソリン価格高騰対策、二酸化炭素および排気ガス排出量の低減だけでなく、
流通コストの低減も可能となり、日本の自動車産業の発展および国際競争での優位な立場の確立に貢献できます。
また、自動車エンジン以外さまざま形で応用が可能のため、より多くの産業に利益を与えることができます。
低燃費エンジンの応用
一例としては、内燃機関としてコージェネレーション(発電とともに排熱も有効利用するシステム)に利用すれば、
給電の比率を高めることができます。
構造を変更すれば外燃機関としても応用可能で、例えば、太陽光で水を温めて発電する熱温水器に使用すれば、
同じ電力を発電するのに必要な設備費は、太陽光発電より安く抑えることが可能です。温泉による発電のような利用方法も考えられます。
2012年に国際特許(日本、アメリカ、中国)取得、その他の国々へも現在出願中です。
実用化されている類似技術は無く、当分の間は、おそらく発案されないと予想されます。
1980年頃 | 発明 |
1990年頃 | ひな形製作 |
2000年頃 | 50ccクラスエンジン試作、動作確認 |
2009年 | 国内/国際特許出願 |
2012年 | 特許登録(日本、アメリカ、中国) |
2013年~ | 1500ccクラスエンジン試作 |